相乗効果でさらに素晴らしく 中四国の 建築×庭園6選


【はじめに】

庭園と建築は本来一体のもの。「庭屋一如」という言葉もあります。庭園と建築のそれぞれが良いだけでなく、1つの方向に向かって調和していれば相乗効果でさらに良くなります。

今回はそんな建築と庭園の組み合わせを6つ紹介します。

掬月亭×栗林公園

庭園というキーワードに反応してこの記事に来た人には栗林公園の説明は不要でしょう。
その栗林公園にあって庭で遊ぶ際の拠点だった建物が掬月亭です。中村好文さんの『意中の建築』、竹原義二さんの『竹原義二の視点 日本建築に学ぶ設計手法 』で取り上げられるなど、プロの建築家も認める名建築です。
庭を楽しむための建物なので、開口部が大きく開放的。建築史家の西和夫さんは「軽快さと開放感、その極地ともいうべき建物がこの掬月亭である。建具を取り払うと庭が三方に広がる。庭の空気は室内に入り込み、ここに座るといつしか室内が庭と一体化していることに気付く」(『日本の建築空間』)と書いています。
同時に、外観は庭の眺めを損なわないよう、雨戸を収納する戸袋を目立たない場所に作るなどの配慮がされています。屋根の角度が背景の山の傾斜とそろって見えるのも個人的ポイント。

栗林公園南湖
投稿者撮影(2020年)


栗林公園掬月亭
投稿者撮影(2022年)


延養亭、流店×岡山後楽園

岡山後楽園の中心だった建物が延養亭です。茅葺で田舎風の外観が、庭園ののどかな風景とマッチしています。

普段は中に入れませんが、例年2回、春と秋に特別公開で延養亭に入ることができます。岡山後楽園は延養亭から見る想定で造られているといわれるので、都合があえばぜひ入ってほしいところです。

岡山後楽園延養亭
投稿者撮影(2022年)


延養亭からの景色
投稿者撮影(2022年)
後楽園にはもう1つ、流店という面白い建物があります。
内部を川が流れている、柱が細く間隔がまちまち、2階の窓の戸袋が建物をはみ出しているなど奇妙な点が多い建物。庭を楽しむという一点に振り切ったことでこのような建築が生まれたのでしょうか。
岡山後楽園流店
投稿者撮影(2022年)

岡山後楽園流店
投稿者撮影(2021年)



臥龍山荘×臥龍山荘庭園

次に紹介したいのは愛媛県大洲市の臥龍山荘。明治の実業家の別荘です。建物と庭はそれぞれ重要文化財、名勝に指定されています。

この別荘は川を見下ろす崖にあります。急斜面に張り付いた感じの細長い敷地に主屋、庭、茶室などを配置し、周辺(特に川)の景観を大きく取り込んでいるのが特徴です。敷地の端にある「不老庵」という建物からも、そこへ行く途中の庭からも川の景色がよく見えます。立地からディティールまで、いろいろなところに個性が感じられる庭と建物です。

臥龍山荘
投稿者撮影

臥龍山荘
投稿者撮影


香川県庁舎東館×香川県庁舎南庭

香川県庁舎と言えば、モダニズムの代表的建築家 丹下健三さんの代表作の1つ。まねされたという点ではもっとも成功した作品かもしれません。

そんな香川県庁舎の南庭はこれも丹下研究室が建物と並行して設計したものです。昔そのままの日本庭園ではなく、建物との調和を考えてアレンジされた日本庭園なのがポイント。重森三玲さんの『日本庭園史大系』でもとりあげられた庭園です。

香川県庁舎東館
投稿者撮影

香川県庁者南庭
投稿者撮影


プラザ佐治×黎明の庭

鳥取県山中の鳥取市佐治町(元:佐治村)にあるプラザ佐治こと豪雪山村開発総合センター。大分県庁舎、島根県庁舎の設計者として知られる安田臣さんの設計です。背後の山との取り合わせがグッドで、建物自体にも山のような重厚感を感じます。くの字型の建物2つに囲まれた中庭は中根金作さん設計「黎明の庭」。この地方で採れた(現在は採掘禁止)佐治川石を展示の意味も込めて大規模に使っています。

個人の感想ですが、2つの建物が南北の山に、庭が佐治川に見えてきます。

豪雪山村の雰囲気が出るように、雪の日を選んで撮影に行きました。

プラザ佐治
投稿者撮影(2022年)

黎明の庭
投稿者撮影(2022年)

三景園

最後の三景園は広島空港公園内にある日本庭園です。料金所などのある入口建物が、見せ方の演出になっていて格好良いのです。料金所を抜けると一気に視界が広がるのですが、入口からつながる水上回廊(厳島神社をイメージ)が奥行きと軸線を強調するので一層印象的になっています。
三景園
投稿者撮影(2021年)

三景園
投稿者撮影(2021年)











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